SMS版POWER STRIKE IIについて

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最終更新日 2020年9月29日

海外マスターシステム用に1993年に発売されたコンパイルの幻の名作「POWER STRIKE II(パワーストライク2)」について、ちょっとした情報を載せておきます。

PAL/NTSCのテンポについて

まずは結論から、POWER STRIKE IIはPAL(50Hz)のテンポが正です。以下はこれが確定した流れです。

POWER STRIKE IIは海外用SEGA MASTER SYSTEM(SMS)向けに1993年に発売されてますが、当初は欧州と豪州でしか発売されていませんでした。そしてこれはPAL環境(50Hz)向けしかなかったことを示しています。ですが、このソフトの開発は日本のコンパイルです。それゆえ、NTSC環境で作られ、59.94Hzのテンポが正なのでないかという考えを持つ人もいました。

2014年末に元コンパイルのジェミニ広野さんがTwitterで以下のようにつぶやいていたことから、この疑問は解消されました。

パワーストライク2を作った時の話で、あれは最初からPAL版で50Hzで作るのが決まっていたので開発基盤の出力を50Hzに設定したんだけど、そこらのテレビでもまあ一応は映ってくれはしていた。

— じぇみに (@jeminilog) 2014年11月19日

そして上記Tweetを私がQTしたら、じぇみにさんからお返事をいただきました。

@MDBBSRemnants 個人的にはなんとか50Hzで遊んでほしいと思ってますが環境が手に入れにくいかもしれませんね

— じぇみに (@jeminilog) 2015年5月16日

自分自身はたとえ59.94Hz想定で作られたゲームであったとしても欧州版は当時のターゲットユーザーが遊んだ通りに50Hzで遊びたいと思っていたのでPAL版MASTER SYSTEM II本体を購入したクチですが、正しくはどちらなのかは気になっていました。これでスッキリしました。

またゲームのテンポだけでなく、曲も50Hzのテンポが正であることを以下で述べられています。これは、「GAME SOUND LEGEND SERIES 「LEGEND OF GAME MUSIC ~CONSUMER BOX~」という家庭用ゲーム機のサウンドトラック集にPOWER STRIKE IIが59.94Hzの間違ったテンポで収録されたことに対する製作者側からの感想です。

@machuya てかパワーストライク2の曲をCDに収録する時一声かけてくれたらなあ。なんで50Hzのゲームの曲を60Hzで再生して収録してるんだ、勿体ない。

— じぇみに (@jeminilog) 2015年1月6日

LEGEND OF GAME MUSIC ~CONSUMER BOX~に59.94Hzの間違ったテンポで収録されていたことについては元コンパイルのPAC藤島さんもTwitter上で不満を述べていました

なお、2020年現在は、PAL対応のモニタはネットオークションを使えば安価に入手できますし、50HzのテンポのままNTSC環境で遊べるFRAMEMEISTERのようなコンバーターを使う手もありますし、MEGA Sgでも同様のことが可能です。せっかくPOWER STRIKE IIのような貴重なソフトを持っているのなら、適正な環境で遊びたいものですね。50Hzのテンポで遊ぶのに必要なハードについてはマークIIIとマスターシステムの環境設定 > 海外用マスターシステムのソフトについてに記載してあります。

後にTectoy社によりブラジル版が出ています。ブラジル版をPAL 50Hzの本体で遊ぶと欧州版と同じテンポになり、NTSC 59.94Hzのマシンで遊ぶと約6/5倍の速度のテンポになるため、PAL-M/59.94Hzに最適化されていないことは論理的に明らかです。欧州版との違いを調べた結果はWeblogに記載しています

じぇみにさんからは他にもPOWER STRIKE(I/II)について興味深いつぶやきがされているので、興味ある方は。

アレスタコレクション収録版について (発売前時点でわかっていること)

2020年12月24日発売予定のアレスタコレクションにはめでたいことにPOWER STRIKE IIが収録されていますが、M2堀井社長のTweetによるとPAL基準のテンポで作られているようです。件のCDのときのように名作が間違った形で広められることがなくて、本当によかったです。

これについては余談があって、今回アレスタコレクションを発表する5年半前に私が「M2さんならきちんと50Hzにしてくれるでしょうし」と無邪気につぶやいたら、M2堀井社長から技術的に困難である旨のリプライがついていたのが、今回PAL 50Hzのテンポにしてくれた、つまり5年半の間に技術的な問題を克服したということなのです。

@MDBBSRemnants それ、前に延々雑談したんですが、いまんとこ無理か?って話に。どうしても擬似になっちゃうんすよねー。

— ほりい なおき (@hor11) June 5, 2015

M2社がアレスタ/Power Strikeの版権を取得したのを耳にしてから6年以上の間、アレスタコレクション出して欲しいけどビジネスとして成り立つのかという思いもずっと持っていて、その間M2堀井社長がTwitterで何度か観測気球を上げているのも見守ってきたのですが、アレスタブランチの発売を控えた今この瞬間にしか出せないタイミングで突っ込んできた堀井社長の勇気を称えたいです、個人的に。

そしてオリジナル製作者の想いをきちんど汲んで50Hzのテンポの問題を解決されているのも素晴らしいですね。「海外のみ発売」「発売時期的に出回りが少ない(※)せいで世界的に中古が高騰」、「日本のSMS/MD本体で遊ぶにはコンバーターが必要」「日本の本体(NTSC)で遊ぶと約1.2倍の早回しになる」と人に勧めるには四重苦があったPOWER STRIKE IIの問題がすべて解消されたのです。

※ 欧州・豪州でSMS版POWER STRIKE IIが発売されたのは1993年であり、日本でセガサターンやプレイステーションが発売された1994年の前年です。SMSが強かった欧州でもさすがに市場縮小期です。

アレスタ (SMS)/Power Strike II (海外SMS)/GGアレスタ (GG)/GGアレスタII (GG)の4本だけでも十分に価値あるのに、新作である「GGアレスタ3」も収録されていて、発売が楽しみでなりません。私はとりあえずプレイステーション4版でゲームギアミクロ同梱限定版は予約済みですし、CRTモニタで遊ぶためにNintendo Switchのダウンロード版も購入決定です。このページを最後まで読むくらいにアレスタシリーズに興味がある方は迷わず突っ込んでみて欲しいです。

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