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最終更新日 2023年3月7日
ラインダブラー方式の超低遅延コンバーター "Open Source Scan Converter(以下OSSC) Ver.1.6/1.7" の後継機 "OSSC Pro" について以下で記載します。
当初2021年発売予定でしたが延期され、その後2022年1月にCOVID-19の影響による世界的な部品不足・高騰が落ち着くまで発売が延期されることが発表されています。ただ、設計自体は一度完成するところまで進んでいるので、延期している期間中に完成度が高まるのを期待すればよいってことかなと。
一番基本的な「OSSC Proとはなんぞや」ということを一言で表すと、"レトロゲーム機をいまどきのテレビ/モニタにHDMI接続するためのコンバーター" となります。フレームマイスターとかRetroTINKとかの類の製品です。
細かな製品仕様は、現時点で分かっていることだけ書いておきます。価格も未定ですが、製品仕様ゆえにRetroRGBのBobにより値段は相応に上がりそうだと予想されています。
ローンチ時に間に合うかどうかは不明ですが、コンポジットビデオとS端子も対応予定です。S端子は別売りのブレイクアウトケーブル経由でコンポーネント端子を利用することになるようです。コンポジットビデオはRetroTINK-5X Proと同様にコンポーネントビデオ端子を利用するようです。
画面出力モードを大きく分けて3モードに分け、OSSC Ver.1.6/1.7と同様の整数倍のアップスキャンコンバートだけでなく、非整数倍のスケーリングや、完全にフレームバッファを使用する方法を選べるようになります。3番のフレームバッファを使用するモードは最低でも1フレームの遅延がありますが、TV/モニタを回転させることなく縦画面のアーケードゲームを遊べるようになるので活用の仕方が増えそうです。
3つのモードは以下の通りです。
Pure line multiplication : 従来どおりの整数倍のラインダブラー(最も高速だけど相性問題も起きやすい)
Adaptive line multiplication : DVDO VP50やEDGEのようなABT Scalerでおこなわれていたリサイズ方式でのサイズ調整(個人的に今回最も期待しているモード)。2ms前後のラグが付加される模様
Scaler (Full frame buffer) : フルフレームバッファ方式(1フレームレベルの遅延が入るが、回転など柔軟。解像度切り替えにも強い)
2021年4月19日夜に、VGPの中の人からOSSC Proの説明動画が紹介されています。上記3番のScalerモードで出力解像度を1920x1080固定にして、デインタレースでMotion Adaptiveを選んだり、240pのアスペクト比などの設定をMDやSNESなどの組み込みプロファイルから選べるようになっていたりをデモしており、かなり使いやすくなっているように見えました。Scalerモードでの出力解像度のFHD固定化とFramelock Onの機能追加により、OSSC Ver.1.6で発生しがちだったキャプチャユニットとの相性問題はかなり解消することが期待されます。今回はAdaptive line multiplicationの映像はなかったので、そこの使い勝手も見てみたいですね。
Quick update on the OSSC Pro - https://t.co/iCt3RgXsaQ
— Matt Buxton (@VGPerfection) April 19, 2021
VideoGamePerfectionの公式フォーラムでの中の人の発言(#47674)から、OSSC ProはコンポジットビデオおよびS端子接続に対応予定であることがわかりました。ただし、OSSC Proリリース当初は非対応で、将来的なFirmwareアップデートにてコンポーネント端子から入力できるようにするとのことです。S端子はそのままだと刺さらないので、別途ブレイクアウトケーブルが必要になります。
2021年9月1日のVGP公式からのTweetによると、ハードウェア的には最後かその一歩手前まで進んでいて、FirmwareはTweetに映っているfw.0.44からの大型更新が控えているとのこと。クラシックゲーミング機器の有名レビュアー界隈にはプロトタイプが配られテストも進んでいるようなので、大型更新が入ったFirmwareでのテストで問題なければリリースまで進むのかもしれない……と当時は思っていたのですが現実は厳しいですね。
It's been a while but finally a new prototype OSSC Pro has landed on my desk. This is final or very near final hardware now! pic.twitter.com/WSfpwn3tLD
— Matt Buxton (@VGPerfection) August 31, 2021
2021年9月22日にもVGP公式から最新のOSSC Proの機能説明動画が紹介されています。ざっくりこんな感じかなと。
Adaptive line multiplicationは、Pure line multiplicationに2ms前後のラグが付加される
Scalerモードでは50Hz, 60Hz, 120Hz固定出力モードが選べる
MiSTer用のスケーリングアルゴリズムをSDカード上のテキストファイルから読み込めるように
少なくともデモ映像で使用したゲームではScalerモードでの解像度切り替え時に暗転はなかった
優れたスキャンライン
2021年9月24日にもVGP公式からOSSC NEWSLETTER ISSUE 19 – LET’S TALK ABOUT… 3 NEW OSSCS?!が発表されました。かなり盛沢山です。以下に自分が読み取った内容をざっくりと書いておきます。正確な内容はリンク先をご覧ください。
OSSC Proは480p Line 3xにはリリース時から対応するし、720p Line 2xも対応予定。240p Line 6xもおそらくリリース時から対応するはず
リモコンの最終候補の写真があり、3つのモード(Pure LM, Adaptive LM, Scaler)をダイレクトに切り替えられる模様。プロファイル1-9をダイレクトに呼べそう
2021年9月1日の基板の写真左についている端子は拡張ボード用のものだった。CRTでプレイしつつキャプチャボードにHDMI出力するのに有用
2022年6月29日にDexx-vd ISLの方が先行リリースされました。こちら単体でコンバーターとして使えるものではなく、MiSTerなどでお馴染みのDE10-Nanoと組み合わせることでOSSC Pro lite的に使えます。
2022年7月7日に届いて半年以上使っています。OSSC Proでアナウンスされている3つのモードはすべて使え、アーケード基板の対応度は手持ち基板ではOSSC Ver.1.6を上回っていました。ただ、個人的には、自分から興味をもって突っ込む人が使うものであって、他の人に勧めるようなものではない認識です。この理由についてはweblogの "DExx-vd_islでのOSSC Pro先行体験" の方にざっくりと書いておきました。
発売前の時点ではあくまで予想です。厳密な比較はよそ様をご覧ください。
FRAMEMEISTER以上に、くっきり、はっきりとした映像
FRAMEMEISTERにはない、RGB Mini D-Sub15PIN(3列)入力端子がある → DCのVGA接続に便利
1440p出力対応
(おそらく)完全なRGB/YUV444出力対応
画質的な意味でもラグ的な意味でもインターレースに強い。
モードにもよるが、基本的に超低遅延。
ゲーム中に解像度が変わるゲームへの対応も過去最高レベル
プログレッシブ/インターレースの違いも含め、入力解像度ごとに出力設定を変更できるので細かな設定ができる
付属の液晶ディスプレイを使用して設定変更できるので、FRAMEMEISTERやRetroTINK-5X Proで同期関係の変更をするときのように映らなくなって設定変更が滞ることがない
家庭用ゲーム機用途に特化した作りではなく、調整次第でアーケード基板や古めのPCに対応できる可能性が高い(あくまで予想)
(おそらく)家庭用ゲーム機用のプロファイルが用意される
家庭用ゲーム機用のプロファイルはデモで使われていただけで、実際は今と同様に外部サイトで提供になるかもしれません。あくまで発売前時点での予想です。
RetroTINK-5X Proはexperimental Fw.2.60の時点でもGeneric 4:3/16:9のときはYUV444ではない弱点がありますが、プリセットが用意できる家庭用ゲーム機と異なりアーケード基板ではどうしても汎用的な設定であるGeneric 4:3を使わざるを得ないため、OSSC Ver.1.6の時点でアーケード基板についてはOSSCに分があります。OSSC Ver.1.6とRetroTINK-5X Proを比較したときに、アーケード基板ならではの変態周波数の受付範囲についてもOSSC Ver.1.6の方がはっきりと上でしたが、DExx-vd_islでのOSSC Pro Lite時点でRetroTINK-5X Proはもちろん、OSSC Ver.1.6よりも対応度は上だったため製品版にも期待できます。
ややお高い(予想)
日本語情報が少ない
日本語情報が少ないのを少しは解消する意味でこの文書を書いていますが、ぶっちゃけトラブル起きた時に英語サイトを見る気がない人は買わない方がいいでしょう。
Adaptive line multiplication(以下 Adaptive LM)はPure LMに2ms前後のLagが付加されるというアナウンスでしたが、手持ちモニタだとDExx-vd_isl + DE10-Nano Fw.0.62時点ではもう少し小さな値だったので製品版がますます楽しみになっています。
OSSC Ver.1.7で過電圧保護回路が搭載されたのはOSSC Proでも同様でしょうし、事故が減ることも期待しています。
まぁなんにしても、今の時点では待つだけで、これ以上書くこともありません。個人的にはちょっとお高くなってもいいのですべての点で過去最高の製品になって欲しいなと。
リリースされたら自分でやった手順をメモする予定です。
以下に、手持ち機器でテストした結果を記載しておきます。
とりあえず簡単なテスト動画を。
DExx-vd_islでの手持ち横画面のアーケード基板のテストです。一面番長しています。
YouTubeに上げているものも基本同じですが、説明文がglobal向けです。
DExx-vd_isl (OSSC Pro Lite) test video: Various Arcade PCB's (horizon)
DExx-vd_islでの手持ち縦画面のアーケード基板のテストです。一面番長しています。
YouTubeの方は縮小なしかつ本当の縦画面にしています。
DExx-vd_isl (OSSC Pro Lite) test video: Various Arcade PCB's (vertical)
自作ではない動画を紹介します。
Videogame Buckoさんによる2021年4月時点でのOSSC Proのデモ動画です。
Videogame Buckoさんによる2021年9月時点でのOSSC Proのデモ動画です。